櫻井よしこの
『世の中意外に科学的』という文庫本を母から借りて読む。これ、なかなか面白かった。脳、BSE、SARS、ミトコンドリア…などなど。各章のタイトルだけを見ると「ひえ~わからん!むずかしい!」と思ってしまう話を非常に噛み砕いてわかりやすく書いてある。論理的に考えられない科学が苦手な私でも、とても楽しく読めた。
特に面白かったのが『退屈する脳』という章。子どものときの1年と、おとなになってからの1年は実際に感じる長さが違うのはなぜか?おとなたちが毎日忙しく過ごしているから早く感じる… と考えるのは間違いで実は脳が退屈しているからなのだ!!それはこう考えるとわかりやすい。見知らぬ土地に出かけたとき、行きと帰りは同じ道なのに行きは長く感じ、帰りは短く感じる。同じ道を通っても新しい道には刺激が満ちていて脳がひとつひとつを吸収し解析しているために長く感じる。反対に帰りは一度通った道なのでほとんどの情報はすでにわかっていて脳があまり働かなくても良いので時間が早く過ぎたと感じるらしい。
あ~そうなのね~。納得。アメリカでは「人間が癌にかかるのは脳が退屈しないためだ!」というとっぴな学説までもが数年前に発表されているらしい(笑)。脳が忙しく働いていれば病気になる暇もないんだそうで。…ということは今の私の脳はかなり退屈しているので…や、やばい!すこし刺激を与えねば。
この本の巻末にはノーベル物理学賞をとった小柴昌俊先生との対談も入っていてこれまた「小柴先生1本!」ってな感じで面白い。完全に櫻井よしこを食っちゃってます。櫻井さんが「こう答えてほしいの、あたくし」という思いを込めた質問にガクッとなる答え方ばっかりする小柴せんせ。小柴せんせのファンになってしまいましたよ。科学が苦手なヒトにもおススメの1冊です。